図表第2章
シナプスに電気信号が伝わると、シナプス小胞がシナプス前膜と融合して神経伝達物質がシナプス間隙〈げき〉に放出されます。神経伝達物質はシナプス後膜の受容体と結合して、イオンチャンネルが開くことによりシナプス後膜の電気的興奮が起こります。ニコチンは、神経伝達物質の過剰放出を引き起こすとともに、受容体を介さず直接イオンチャンネルを開き、シナプス後膜の過剰興奮を引き起こします。過剰興奮が続いていると、本来の神経伝達物質放出能力が低下するとともに、受容体が減少してしまい、ニコチンなしではシナプスの機能を保てなくなっていってしまいます。
GHQ−30質問票でストレスの度合いを調べたところ、調査開始時に禁煙したグループでは、6ヶ月後、1年後のストレスの度合いが、喫煙継続グループに比べて大きく減少していました。喫煙がストレスを解消するというのは錯覚にすぎません。
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音や光の信号に応答してスイッチを押す反応能速度テストにおいて、15時間禁煙時の喫煙者は非喫煙者より反応が遅く、この成績は禁煙中止後もほとんど改善しませんでした。(*非喫煙者に対して差が有意;数値は論文掲載グラフからの推定値)
脳の血流をSPECT(単光子断層撮影)でみると、喫煙前よりも喫煙後のほうが血流が低下しています。喫煙するとニコチンの覚せい作用のために頭の働きがよくなるような錯覚におちいりますが、実は血流低下のために脳は機能低下を起こしていて、本来の能力を発揮していません。(被検者は28歳男性)
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10代で喫煙を開始した喫煙者は、20代、30代以降に喫煙を開始した喫煙者より重度のニコチン依存に陥っています(A)。また、未成年期に習慣的喫煙を開始したり、低年齢で初回喫煙をした方が将来喫煙習慣をやめる可能性が少なくなります(B,C)。タバコ産業のねらいはここにあり、可能な限り低年齢で初回喫煙を経験させ、未成年期に習慣的喫煙を身につけさせることで、強いニコチン依存からなかなか抜け出せない人間を増やそうと画策しています。
欧米では内部告発や裁判での和解などの結果、タバコ会社の内部文書が数百万件公開されています。その中には、タバコ会社が未成年へのタバコ販売拡大策をとってブランド開発や宣伝活動を繰り広げてきたことを示すものが多数あります。
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成人喫煙率とタバコ総販売本数から、未成年者が消費しているタバコ本数を算出すると、ここ20年で約200億本から500億本に増加しています。いっぽう、ここ20年でタバコ自動販売機設置台数は30万台から60万台に増加しました。自動販売機が未成年喫煙のすべての原因ではないにしても、主要な原因であるのはまちがいなく、タバコ自動販売機の店舗外設置を禁止することによって未成年喫煙が減少することは疑いがありません。
喫煙していると不安障害の疾患グループに含まれる各疾患の発症リスクが上がります。リスク比はうつ病、パニック障害、薬物中毒などの要素を考慮に入れて計算すると有意でなくなってしまいますが、グラフのようにニコチン依存の度合いとリスクが相関します。
何かの依存症におちいっているかどうかを判定するのに、この診断基準が使われます。□□の中に「タバコ」あるいは「喫煙」を入れると、下記2、3、6の項目はほとんどすべての喫煙者であてはまります。食後など生活習慣と結びついた喫煙については、多くの人で1があてはまり、喫煙を開始した頃と比べると4もあてはまるでしょう。大多数の喫煙者で3項目以上があてはまり、ニコチン依存症におちいっていることがわかります。
パニック発作・パニック障害のある人の喫煙率が高いことはよく知られています。喫煙がパニック発作やパニック書害を起こすリスク(A・B)と、パニック発作やパニック障害が喫煙開始を誘発するリスク(C・D)を分けて検討すると、前者においてのみリスクの上昇が有意で、喫煙がパニック発作やパニック障害を起こしているのだということがわかります。喫煙の影響は若年層でとくに明らかで、喫煙していると13.13倍もパニック障害にかかりやすくなります。(*対照に比べて差が有意)
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